背景,動機.制約条件
エコロジーやら3R*1やらいう風潮にあって,これらの工場で悩ましいのが廃棄物.生産によるゴミもあれば,余剰在庫などもあるらしい.
筆者が暮らしている自治体は,急速にマンション街になりつつあるのだけれど,いまだに中小零細の工場が多い.たぶん2500事業所くらいはあるはず.廃材の総量はかなりのものだろう.
この種の「廃材」を,アート系クリエイターの力で商品価値を回復させる取り組みは,全国各地で見られるらしく,時折TVニュースでも見かける.そして,ごたぶんに漏れず,筆者の生活圏でも行われている.彼らは自らを配材プロジェクトと名乗っている.
実は,このプロジェクトのコアメンバーの何名かとは地域振興系の取り組みが縁で面識がある.けれども,筆者自身は配材プロジェクトには関与していない.本職がソフト屋である筆者は,廃棄物や在庫は基本的に無形."配材"の生産者ではない.クリエイターでもないので"配材"の消費者でもない.重なる部分が0なので参加するはずもないという塩梅.
しかしながら,アート系のイベントで見かけるようになるにつれて,パスティーシュ対象の一つとして捉えてはいた.
動機
パスティーシュとして,どういうアプローチがあるかということについては半年近く断続的に思案していた.
最初のアプローチは,企業の廃材という視点を替えて,家庭の廃材を使うというもの.しかし,このアプローチは,小学校の科学工作集にあるようなモノになってしまう.ちっとも面白くなかった(作っている筆者自身が).
制約条件
今回の制約条件は,「配材プロジェクト」がいかにも作りそうなものを作るという,辞書通りのパスティーシュとする.
筆者の生活圏の工場は,軽工業系が多い.紙,繊維,アパレル,石鹸や油脂等の軽化学,プレス,などなど.
これらの工場で廃材として出そうな素材を利用する.
パスティーシュは,ホンモノより拘らないとホンモノ感が出ない.配材プロジェクトでは,一部の部材は廃材ではないと聞いている*3.この辺りについて,条件を一ランク上げる.具体的には,紙と布地だけで一応形にする.
また,江戸の昔からある工芸(アート)を連想させるような題材を絡める.
これくらいの制約条件を満たせば,それなりにソレっぽくなるだろうか.
(つづく)